日本のあれこれ その6

自由主義的市場経済のもつ、ひとつの大きな欠陥が分配の分野にあることをこのさい強く認識して、政策の重点をそこへ移すべきであることを指摘したい。

戦後、ここまでの繁栄を実現した国民の英知を、われわれは信じることができる。

為政者が、このさい、果断に行動して、国民のなかに広がりつつある社会不正義感をのぞくことができるならば、日本国民は再び新しい価値体系を築きあげることができるでしょう。

しかし、そのために、われわれに残されている時間は短いL宮沢の報告は、与党である自民党の同僚から反響を巻き起こさなかった。

日本のあれこれ その5

自由経済が大切であると考えればこそ、その正常な運営のために、国民経済にとって欠くことのできない財貨が現実に有限であるときは、無制限な私権の対象にしておくわけにはいかないという現実の認識です。

社会正義を実現するための富の再分配に当たっては、新しい角度から"公共財"の理念を導入することが必須であろう。

所得の再分配については、すでに社会保障、税制などを通じて努力の方向はわかっています。

分配を多くするためには、パイを大きくすることが必要だと考えることが誤りだというのではりません。

日本のあれこれ その4

富の再分配を行う場合、第一に考えねばならないことがあります。

世間に無限に存在するがゆえに、自由に所有し使用できると伝統的に考えられてきた幾つかの財が、いまやきわめて有限であり、したがって場合によっては、それはもはや『私有財』ではなく『公共財』として考えねばならぬ、ということです。

空気、水などはその好例であるが、大都市においては、いまや土地もその一つに数えねばならなくなりました。

このような考え方は、イデオロギーから出ているのではない。

日本のあれこれ その3

問題は、民主主義の社会に少数の強者と多数の弱者があり、体制は強者の利益のためにあると国民の多くが感じたとき、民主主義は無気力から衰退へと向かう以外に道がない、ということです。

そうした世相のなかで、われわれ政権を担当している政党が、いま緊急になさねばならぬことは、国民の社会正義感を回復するために、強烈な、時としては行き過ぎと思われる程度の政策を実行することであろう。

それは、まず、国民の富と所得の再分配からはじめねばならない。

日本のあれこれ その2

一九七三年七月、現外相で、元通産相、当時の自民党の政審会長だった宮沢喜一は党の同僚に向け、党機関紙の一面に論説を書いた。

経済のエキスパートの宮沢は日本における最も責任ある政治家の一人であり、彼の論評は引用に価しよう。

「最近、大商社の経済活動が問題になったとき、国民の多くは、自分たちの手のとどかないところで、自分たちには想像もできないほど大きな取引きが、しかも商売の対象にするには不適当な財貨をめぐって行われた、と感じました。

少数の強者のほしいままな行為で、多くの国民が疎外されるような社会不正義が行われている、と感じました。

この感じ方が正しかったかどうかはいま論じない。

日本のあれこれ その1

「操作屋」が日本経済に与えた打撃はまことに大きい。

なによりも悪いのは日本の国民をつなぎとめている根本的な信頼感に対する打撃です。

何回も何回も搾取されては、世界で最も長く苦しんだこの国の国民もいつまでも泣き寝入りできないでしょう。

それに少なくとも七四年まで、住宅所有者はほとんど援助を受けていません。

政府も財界も、軍国主義者が三〇年代に人権を踏みにじったときのような仮借なさで、人権に対しほとんど衝撃的な冷淡さを見せた。

福島県のおススメ森へ・・・檜枝岐村4

渋沢は燧ヶ岳に源を発し、大雨の時には鉄砲水が出る暴れ沢だ。
はじめはシダの密生する急な登山道が続く。

この道は比較的新しく、昭和30年代につけられた冬に熊狩りなどに訪れる人もいたが、地元でもまだ知らない人が大勢いるという、尾瀬の秘境だ。

あたりはわずかにサワグルミが混じるほかはすべてトチノキの森。
それも樹齢数百年の古木の森だ。

滝の音が近づいてくるとコースもいよいよ終点。
落差40メートルのみごとな渋沢大滝の下に出る。

観光地化した尾瀬の知られざる姿。

深々とした原始の森を訪ねる静かな山旅である。
小沢平は道路が開くのが遅いため、入山できるのは6月から10月までに限られてしまう。
だが、新緑に始まり、紅葉に終わるまで森の姿の移り変わりを楽しめる。

福島県のおススメ森へ・・・檜枝岐村3

一見、ブナばかりにも見えるが、よく見ると渓畔林特有のさまざまな木が混じっているのがわかる。

地元でセンノキと呼んでいるハリギリ。
太いものは昔から太鼓の胴に使われているという。

湿った沢筋にまっすぐに伸びるサワグルミの木は、オニグルミのように食べられる実が採れない代わりに、まな板や下駄に使われてきた。
白くやわらかい材質が向いているのだ。

やがて只見川の支流、渋沢に出る。
渋沢温泉小屋の建つここは、三条の滝や尾瀬ヶ原への道の分岐点。
只見川本流はそちらを源として福島と新潟の県境を流れ下る指導標にしたがい、渋沢大滝へ。

福島県のおススメ森へ・・・檜枝岐村2

只見川に沿った木の階段を登ると、いつしかコースは川岸を離れ、山腹の森へと分け入る。

樹齢200年を超える美しいブナの巨木に次々と出会う。
林床にはササが少なく、動植物の種類も多い。

手付かずの原生林とはいえ、地元の人々は、山の幸を求めて、昔からこの森に入っていた。
あちこちの木の幹に、そんな人々が刻んだ字が見つかる。
古いものはマタギの人が道しるべのために彫ったものだ。

高い位置にあるものは、雪の深い時に刻んだものとわかる。

なかには、50年以上も前の日付のものも見つかる。

福島県のおススメ森へ・・・檜枝岐村

群馬、福島、新潟の三県にまたがる尾瀬は、日光国立公園に指定され、日本最大の高層湿原で知られている。

その福島県側に尾瀬の最高峰、標高2356メートルの燧ヶ丘が堂々とそびえている。
この山麓一帯は、豊かなブナの森で覆われ、なかでも只見川のこのあたりの源流付近には、珍しいトチノキの純林が広がっている。

尾瀬日山荘のある小沢平のバス停から5分も歩くと、もう森の中の道となる。
このあたりはあまりに山深く、伐採しても搬出が容易でなかったため、手付かずのまま木々が残されたという。

尾瀬でも貴重な森なのだ。

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